乳幼児期の遊びと学び

子どもは、自然や生活の中で出会う様々なものに、好奇心をもち、五感を精一杯働かせて、見たり、触れたり、聞いたり、味わったり、においをかいだりして、「何かな?」「どうしてかな?」と不思議に思ったことについて、探求を始めます。

また、仲間のかっこいい姿を見て、憧れを持ち、自分もやりたい!と挑戦します。

この最高に魅力的で自発的な遊びを通して、子どもはたくさんのことを学びます。時には困ったり失敗したりすることもあるでしょうが、その時、まわりの大人のあたたかいまなざし・ぬくもり・笑顔によって、安心と安定を感じとり、勇気と好奇心を復活させて、また新しい世界の探索を始めます。

私たちは、遊びの中にある学びの芽を見逃さずに子どもたちの育ちを支えていきたいと思います。

遊びを通して子どもが学びを深めていったエピソード

足がはいったよ」(0歳児)

0歳児クラスのIちゃんは、この頃、何にでも足を入れる遊びに夢中でした。牛乳パックを切ったわっかに両足を入れてご満悦です。もっと大きな箱にも挑戦しようと、足を持ち上げましたが、バランスを崩してこけてしまいました。
すると、今度は、壁をしっかり持ってこけないように注意をしながら足を入れました。反対の足で挑戦して、やっと成功!片足が入った自分の姿を見て、どんなことを思っているのでしょう?

「流しそうめんプロジェクト」(5歳児)

春、園庭の川に井戸水を流すとおもちゃが流れていきました。すると、砂場の用具や花や葉っぱを流して、どんなものが速く流れるか実験が始まりました。この遊びが、自分たちで水路を作る遊びに発展しました。
6月、絵本を見て「流しそうめんしてみたいなあ!」とHが君が言いました。みんな大賛成!ここから、流しそうめんプロジェクトが始まりました。竹は細工が難しそうなので、ペットボトルをつなげることになりました。「どうやってペットボトルをつなげるか?」「水に強いテープはどれか?」3日間、水につけて実験することになりました。
ペットボトル集め開始!みんなに協力してもらって、たくさん集まりました。次は、つないでいく作業です。布ガムテープで貼っていきます。
あんまりおいしくて楽しかったので、小さいクラスの友達も誘って一緒に食べました。

「流しそうめんチャレンジ」(2 歳児)

5歳児に誘ってもらった流しそうめん体験の後、2歳児のR君が今まで使わなかった『そうめん』という言葉を使い始めました。そして、紙の筒を使ってチェーンリング流しを始めました。
このように、子どもは0歳から自分で考え試行錯誤を繰り返し、生活の中で、自ら学ぶ力を育てています。その時、信頼できる大人や仲間の見守りや応援がとても大切です。私たち保育者は、子どもの内なる声を受け止め、安心できる環境とやりたいことに没頭できる時間と場所を保障し、適切な準備とタイミングの良い問いかけをすることによって、子ども一人一人の「やってみたい!」「なぜだろう?」を「もっとやりたい」「もっと知りたい」「きっとできる」につなげていきたいと思います。
やりたいことをとことん探求する過程で身につく力こそ、今、重要とされている非認知的能力(集中力・粘り強さ・あきらめずにやり遂げる力・協調性・コミュケーション力など)であると考えています。